10日目/2011年2月1日(火)

【発信地】グアム・タモン(グランドプラザホテル)


 ミクロネシア連邦からグアムに移動し、アイランドホッピングは終盤に入った。
 7時に目を覚まし、外の様子を伺うと雨音が鳴り響いていた。どしゃ降りだった。天気が良ければ裏山に登るつもりだったが、これではただの散歩さえ難しい。外出を諦めて再び眠る。結局、8時に身体を起こして身支度とパッキングを済ませた。グアム行きの飛行機に乗るためだ。
 9時50分、フロントでチェックアウトの手続き。シングル50ドルに税金3ドルを足して1泊53ドル、計5泊で265ドルの支出だ。本音を言えば1泊30ドル程度が理想だが、太平洋島嶼国は全体的に物価が高いから妥協するしかない。実際、1泊53ドルという値段設定もオセアニアの小さな国家では安いほうだ。
 10時、ホテルのワゴンでポンペイ空港に赴いた。「もし飛行機が遅れたりしたら電話をかけてください」とスタッフは言う。最後まで面倒を見てくれてありがたい。車を降りてすぐ、チェックインを行った。今回も太平洋の各駅停車、「アイランドホッパー」ことCO957に搭乗してグアムに向かう。離陸予定時刻は13時30分だから少々来るのが早かったが、ダブルブッキングを防ぐにはこれくらい余裕を持たなければならない。とはいっても、ポンペイ空港には待ち時間を消化できるような施設はまったくない。そうした状況に加えてちょうど雨が止んだから、空港の周辺を歩くことにした。
 ポンペイ空港は2011年1月27日(木)の日記に書いたとおり、日本の援助によって最近改装された。開放的で小さな、いかにも南国らしい空港だ。市街地から程近く、周辺には港もある。その隣にはChina Star Hotelという中華系のホテルがあり、1階で中華料理屋が営業している。10時45分、腹ごしらえのため立ち寄ることにした。注文したのは鶏肉の甘酢あんかけ(8ドル)とアイスティー(1ドル)の2品。いずれも数分でサーブされた。味もなかなかの旨さ。なお、店員に中国人はいなかった。
 11時半、ポンペイ空港に戻って搭乗を待つ。すぐ近くでミクロネシア人の家族が記念撮影を楽しんでいるため席を外したところ、なぜか「君も入りなさい」と誘われ一族に加わる。チュークからやってきたらしい。さらにその後、香港人観光客の夫婦から声をかけられる。4日前、The Village Hotel Restaurantで少し会話した人たちだった。2人はダイビングのためポンペイを訪れたという。日本には何度も行ったことがあるそうだ。
 正午にゲートが開き、出国審査とセキュリティチェックが始まった。どちらも滞りなく通過し、ロビーでくつろぐ。そして12時40分、クワジェリンからやってきたCO957が滑走路に降り立った。例によってこれからの流れは簡潔にまとめよう。


 CO957 Honolulu → Majuro → Kwajalein → Kosrae → Pohnpei → Chuuk → Guam


 *日本との時差は+2。日本が正午のときポンペイは14時。
 13:10 搭乗開始
 13:20 Pohnpei離陸
 13:30 機内食(ミニプレッツェル
 *ここから日本との時差が+1。日本が正午のときチューク・グアムは13時。
 13:30 Chuuk着陸
 13:45 搭乗開始
 14:05 Chuuk離陸
 14:30 機内食(ハムサンド、クッキー、レーズン)
 15:40 Guam着陸


 飛行機の搭乗率は8割ほど。独占路線だからいつも混んでいる。乗客は地元の人々が5割、白人が3割、アジアの人々が2割くらい。日本人も数人いた。JICA関係者か水産関係者だろう。
 グアムには日本各地からの飛行機が相次いで到着したばかりで、入国審査は非常に混雑していた。制服姿の高校生、老夫婦、学生っぽいグループなど、ミクロネシア連邦ではまず見ることのない日本人でいっぱいだ。そのなかに公用旅券を持った若い男性がいた。ポンペイ空港で見た記憶がある。話を聞くと、予想通り青年海外協力隊の隊員だった。ポンペイに来て半年になるのだが、身内に不幸があり「私事目的任国外旅行制度」を使って日本に一時帰国するという。彼は南の島に関心があるそうで、なんと2009年9月のサモア地震のとき現地にいたという!サモア地震は自分も被災している。当時、彼も自分もサモアを旅する学生だった。あの震災を体験した日本人の学生は他にもいたのだ。もっと会話を続けたかったのだが、彼が乗る名古屋行きの飛行機があと少しで搭乗を締め切るため係員が優先窓口に連れて行ってしまった。残念だが、こうして出会ったことだけでも素晴らしい。
 17時、預けていたバックパックを回収して到着口で停止。続けて携帯電話を取り出し、ホテルに連絡を入れた。迎えに来てもらうためだ。事情を話して待つこと15分。自分の名前を呼ぶスタッフが現れた。さっそく声をかけて合流し、用意してくれたセダンに乗り込む。車はホテルに向けて走りだした。
 ホテルは観光客で賑わうタモンの一角にあった。チェックインを済ませ、部屋で一休みしているとベッドの横の電話が鳴った。予約していたレンタカー会社からの連絡だった。営業時間は18時までだから早めに契約を交わす必要があるらしい。ロビーでレンタカー会社のスタッフと待ち合わせ、バンでホテルのすぐ近くの営業所に移動。そして18時過ぎ、これから24時間お借りするトヨタ・ヤリスのステアリングを握った。左ハンドル・右側通行はパラオで経験済みだが、やはり運転するのは緊張する。なお、グアムでは周辺各国と同じく日本の運転免許だけで車を借りられる。その後、練習としてメインストリートとKマートを往復した。Kマートはタモンで営業する地区最大級のスーパーマーケット。メインストリートからの距離は1km以下だが、左ハンドル・右側通行の感覚を思い出すことができた。帰り際、サークルKで食料を買った。今日の夕食だ。残金が少ないから贅沢はできない。
 明日はグアムを一周する。途中、海岸や射撃場に立ち寄る予定だ。最後まで旅を満喫したい。